10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
私が悶々と考えていると、麻子さんが、はぁと吐き忘れていたように大きく息を吐いた。
「こっわ! さっきの目、何? 殺傷能力あるわよ! 大和先生、女相手でも許せないんだ」
「へ?」
どういうことだろう?
っていうか、麻子さん、大和先生の事好きで告白したんじゃなかったっけ?
「で、でも、麻子さん大和先生のこと……好きだったんですよね」
「顔はね」
「告白したって」
思わずそんな無粋なことを聞くと、麻子さんはキョトンとした顔をした。
「告白……? しないわよ、大和先生ずっと好きな人いるって有名だし」
「へ?」
「誰がそんなこと言ったの」
「……いや、あの」
「もしかして島原先生?」
「あ、はい……2人のこと、協力してあげようって」
私が言うと麻子さんは苦笑した。
「そういう話にしてたのね。まぁ、そういうことにしておくわ。あいつに貸しね。とにかく、安心して。大和先生のこと、好きだったってわけじゃないから」
「そ、そうだったんですね……」
私がよくわからないままそう言うと、麻子さんは私の顔をじっと見て微笑む。
「それより、果歩ちゃんと大和先生の子どもが楽しみね。絶対、かわいいだろうなぁ……」
そんなことを突然言われて戸惑った。
子ども……考えたことがないわけじゃないけど、私たちはまだ子どもができるようなことはしていない。