10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
鏡越しに、髪を切る正真さんと、となりにいる麻子さんを見ながら私は言う。
「お二人、仲いいんですね」
「二人暮らしだしね。でも、喧嘩もしょっちゅうだよ」
「それはお兄ちゃんが私のプリンとか勝手に食べるからでしょ! ワインも勝手に飲むし!」
「あはは」
いつも美しい麻子さんが、小さな女の子みたいに見えてかわいい。その様子に私も思わず笑ってしまう。
兄妹かぁ……。私も憧れたなぁ、と思っているとそれが口から漏れ出た。
「憧れます。そういう兄妹に憧れてたから」
「お兄さんがいるの?」
「兄、というか……あ、今はお、夫です」
私が言うと正真さんが目を輝かせる。
「なにそれ! 詳しく聞きたい!」
そう言われれ、ぽつぽつと大和先生とのことを話しているうちに、いつのまにか髪もメイクも、全部完璧に仕上げられていた。