10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 戸惑う私に、病院長は微笑んで続けた。

「大和と果歩ちゃんがうちに結婚の挨拶に来た時、嬉しかったけど、島原先生のことが少し心配にもなった。それでも……彼は利口だから、そういうのうまく隠してきてた。でも、私なんかから見ると、そういう気持ちを隠し通すのって、すごく苦しそうだなって思ってたんだ」

 病院長は島原先生の気持ち、知っていたんだ。そして島原先生の苦しさも……。それを思うと泣きそうになる。

 病院長はそんな私を見て、いたずらっぽく笑うと、

「でもさっきは、すごくすっきりした顔してたよ」

と言った。

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