10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

「うぅ……私……どうしたらいいんでしょう」

 思わず病院長に聞いていた。すると病院長は微笑む。

「果歩ちゃんが落ち込む必要ないよ。でもさ、もし彼の本心を聞いたのなら、真摯に答えてあげて」
「……はい」
「もし……果歩ちゃんが、島原先生の方が好きだって言うなら、大和と離婚して島原先生と再婚してもいいし」

「まさか……! それは絶対にないです!」

 思わず叫んでいて、病院長は少し驚いた顔をした。私もそれ以上に自分の声の大きさに驚いていた。

「す、すみません……! 大きな声だして……!」

 そう言った声まで大きかった。
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