花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!

受け付け横の商談用の小部屋からオレリアと五十代くらいの男性が出てきた。

オレリアだけでなく男性の視線もこちらへと向いたため、アデルに続いてエミリーも足を止め、膝を折って「こんにちは」と挨拶した。


「おや。この子が噂の養女か。話に聞いていた通り、可憐な天使だな。おじさんの所に来ないかい? オレリアは怖いだろ」

「誰が怖いって?」


不機嫌なオレリアに対し、男性客は「おっと」とわざとらしく口を手で塞いでみせた。


「怖くないよ。エミリーはね、オレリアばあばと一緒でとっても楽しいの」


エミリーがにこりと笑って否定すると、男性客は愛おしむようにエミリーを見つめる。

オレリアはやたら感激した様子で「エミリー、お小遣いあげよう」と受け付けにある金銭箱から取り出した50エネル硬貨を、エミリーに手渡した。

「あのオレリアが小遣いをあげるなんて」とアルフォンを始めとする従業員たちが騒然とする中、エミリーは「わーい! オレリアばあば、ありがとう!」と三歳児っぽく大袈裟に喜んで見せてから、アデルと一緒にその場を後にした。

薬草庫に余った薬草を返して、オレリアの屋敷に戻ってきたエミリーは持っていたカゴをテーブルに置いてソファーにぱたりと倒れ込み、「はー」と大きなため息をつく。

< 163 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop