花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
その瞬間、エミリーの体を輝き、光が一気に放たれた。
光の波動がエミリーを中心に波紋となって広がり、広場が浄化されていく。
襲い掛かろうとしていた獣犬たちが地面に転がり悶え苦しみ、やがて正気を取り戻し、尻尾まで振り始める様をリタは驚きの表情で見届けた後、自分の名前を叫んだ幼な子へと顔を向ける。
「……エミリー?」
似ているけれどそんな馬鹿なといった顔をしたリタにエミリーは笑いかける。
馬の蹄の音が響き渡り、広場へと騎士団員が雪崩れ込んでくる。
リタと座り込んだままの親子の元へ馬で駆け寄っていったのはフィデル副団長で、エミリーはさらに表情を明るくさせた。
彼に助けて貰えばなんとかなる。
希望を胸にエミリーは走り出そうとしたが、刺客の男に後ろから腕を掴まれ、抗う間もなく肩に担がれてしまう。
「エミリー!」
叫んだリタへと顔を向ければ、彼女の隣にいるフィデル副団長とも目があった。
エミリーは何の言葉も叫べぬままに、幌馬車の中へと再び押し込まれる。
「すぐに出せ!」
「その幌馬車を止めろ!」
刺客の男の声に被ってフィデル副団長の命令が飛ぶ。
幌馬車は男の言葉に従って即座に動き出す。