花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!

獣のような顔で言い返してきたロレッタに、エミリーは非難の眼差しを向ける。


「欲にまみれたあなたに大聖女の名は相応しくない。今すぐその地位を降りなさい。これからは私が大聖樹を守っていきます」


高らかに宣言したエミリーの元へと風に乗って小さな黄色の花びらが舞い落ちてくる。


「花びらは散ってしまっていたのに、いったいどこから」


裏庭でのあの瞬間を彷彿とさせる光景にロレッタは顔色を無くし、恐れを抱いたようにふらりと後ずさる。


「絶対に認めないわ。私の跡を継ぐのはエスメラルダよ。これからはあの子の時代なの。そうするためにも死んでちょうだい。今すぐ!」


ロレッタの怒りの咆哮に刺客の男は剣を抜き、エミリーに切り掛かる。

振り下ろされた剣は寸での所で、違う剣によって受け止められた。

エミリーの目に映っているのは、愛しい彼の背中。


「レオン様」

「フィデルに聞いて飛んできたんだ。間に合って良かった」


エミリーが声を震わせて呼びかけると、レオンは肩越しに微笑みかけ、そして力一杯刺客の男の剣を弾き落とす。

続けて剣を振り上げ向かってきた騎士団長に対しても、レオンは恐れることなく立ち向かい、鋭く刀を凪ぐ。

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