花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
見渡すだけで七、八人近くいる。
不利な状況ではあるが、レオンだけならここからなんとか逃げ切ることができるのではとエミリーは考える。
お荷物な自分でも、彼を逃すために何かできることはあるはずだと必死に思考を働かせていると、三匹の凶暴化した獣犬が「ギャンギャン」と喚き散らしながら庭へと侵入し、荒ぶった様子で襲いかかってきた。
厄介な獣の乱入で一気に状況が混乱し始めると、レオンがエミリーに「走れるか」と囁きかけ、エミリーも「走るわ」と力強く答えた。
レオンは剣を納めてエミリーの手をぎゅっと握りしめ、そしてふたりは庭から外へ出るべく走り出す。
「そのふたりを絶対に逃がすな!」
レオンとエミリーの動きに気づいたロレッタが大きく声を張り上げる。
レオンは向かってくる騎士団員や獣たちを炎の波動で応戦しつつ、決して走る足は止めない。エミリーも無我夢中で駆け抜けた。
庭から出ようとした時、逆に外からフィデル副団長率いる騎士団員たちが覇気を上げるように声を発して雪崩れ込んでくる。
レオンはフィデル副団長へとすれ違いざまに「出来る限り食い止めろ。俺たちは裏庭へ向かう」と声を掛け、それにフィデル副団長は「御意」と短く返し、戦いの最中へと突き進んでいく。