花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
ふたりは外へと飛び出し、ひと気のない街路を駆け抜ける。
裏庭へ行くために一番近い裏門から入るかと思いきや、レオンは門番を警戒しつつそのそばを通り過ぎた。
かといって進む方向から正門を目指している様子でもなく、警戒中の騎士団員たちを避けるように細い路地を突き進んでいく。
家屋の物置きの陰へと身を隠し、レオンは様子を伺いながらエミリーに小声で話しかける。
「門の警備に当たっている団員は騎士団長の派閥の者ばかりなんだ。一番手薄なあそこから入る」
彼の視線の先には通用口があった。正門や裏門とは違って騎士団員はふたりしか立っておらず、確かに警備は手薄と言える。
「わかったわ」とエミリーが頷いたあと、共に物陰から飛び出そうとするが、通用口からぞろぞろとならず者風の男たちが出てくるのを目にし、ふたりは慌てて元の場所へ。
「刺客の男と一緒にオレリアの屋敷に奇襲をかけてきた人たちよ」
その場で足を止めて、ぎゅうぎゅうに詰まった硬貨袋の中身をひと目を憚ることなく嬉しそうに覗き込んでいる男たちを睨みつけながらエミリーはレオンに報告する。
「あいつらの顔、どこかで……。そうだ、懸賞首だ」
「そんな人たちを城の中に招き入れるなんて。一体誰が」