花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
真っ白な獣犬がエミリーたちの横で停止し、その他は突風のごとく男を追いかけていく。
すぐそばに留まった獣犬は大きな体でふたりを隠すようにお座りし、時折ちらりとエミリーを見てはパタパタと尻尾を振る。
「……凶暴化はしてないようだが、俺たちを助けてくれたのか?」
じっと見つめるうちに、この真っ白な獣犬は先ほどリタに襲いかかっていたあの獣犬に似ているとエミリーは気がつく。
正気を取り戻したあと、こちら見つめて尻尾を振っていたため、もしかしたらという気持ちになっていった。
「きっとそうね、力を貸してくれているんだわ。男たちの姿もないし、門番ふたりも獣犬たちのお陰で混乱しているし、この隙に突入できるんじゃない?」
物陰から通用口の様子を探るようにエミリーは身を乗り出す。
何気なく獣犬のふわりとした体に触れて撫でると、ぽうっと真っ白な毛がほのかに光を放ち始める。
エミリーの気持ちを受け取ったかのように「ワン!」とひと鳴きすると、真っ白な獣犬は門番へ向かって駆け出した。
「すごいな。さすが我がエイヴァリー家の大聖女、そして俺の花嫁」