花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
レオンはエミリーを引き寄せてぎゅっと抱きしめた後、考える時間を与えぬままにそっと唇を奪う。
レオンは微笑んだのち、何が起きたのか理解が追いつかないエミリーへ「行くぞ」と告げて、再び手を繋いで走り出す。
真っ白な獣犬に覆い被さられた門番が「待て!」と叫ぶ横をレオンたちは素早くすり抜け、そのまま裏庭へと突き進んでいく。
裏庭の入り口には騎士団員数人と、口元を布で隠し、落ち着かない様子でウロウロしているテド院長の姿があった。
城に入ってからも、警戒中の騎士団員に対して繰り返し身を隠していたため、エミリーが思わず走る速度を緩めると、レオンが安心させるように微笑みかけた。
「あの騎士団員たちはフィデル派だから問題ない。足元で寝ているのは違うけど」
言葉通り、彼らの足元に五名ほど横たわっている。
起きないわよねと心配になりながら静かに近づいていくと、レオンたちに気づいたテド院長が慌てて駆け寄ってきた。
「エミリー・メイルランド! 生きていたんだな。良かった」
テド院長は涙ぐみつつエミリーをハグしようとしたが、寸でのところでレオンが笑顔で割り込む。