花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
「さて、売り切ったのならここにもう用はない。撤退するよ」
「はい!」と威勢よく返事をして露店へ戻っていく女性従業員を見送ってから、今度はエミリーの後ろに控えているシアメルたちに話しかけた。
「お前さんたちもさっさと商品の受け渡しを済ませて店じまいしな。その大金を狙ってくる馬鹿がいるかもしれないから、私たちと一緒に帰ると良い」
オレリアが台の上に無造作に置かれている貨幣袋を見やる。エミリーは改めてフィデルと向かい合った。
「フィデル、本当に購入してくれるの?」
「あぁ。もちろん」
「ありがとう。それなら16000エネルいただくわね」
「いや、それはもう既に支払った物だから、そのまま受け取れ。過剰分はエミリーの好きに使えば良い」
勝手な値下げはできないけれど、高値で売ることは可能であり差分は委託者が得ることができる決まりとなっている。
とは言え、その差分を懐に入れたくて委託された者が値段を釣り上げたとしても、元々の値段が刻まれたプレートを提示している以上、高値で買ってもらえることはあまりない。
フィデルの厚意を受け取るのは違反ではないが、高額すぎる。エミリーはふるふると首を横に振った。