花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!

オレリア・リングハットとサインまで刻印されたのを確認してから、エミリーも魔石へと手をかざし「契約します」と厳かに呟く。

すると、再び魔石が赤黒く輝き、手のひらにチリっとした痛みを感じたいエミリーはわずかに顔を顰めた。

オレリアのサインの下に、エミリー・メイルランドと名前が並べば、魔法契約は無事完了となり、硬貨袋の紐が勝手にキュッときつく結ばれる。

「これで全部です」とメイルランド家の御者がフィデルの連れの眼鏡の男性へと魔法薬が入った箱を渡した横で、エミリーは外した魔導具の腕輪と共に16000エネルが入った硬貨袋をシアメルに手渡す。


「このまま彼女は俺がエトリックスクールまで送っていく」


フィデルからの申し出に、シアメルは不安げな眼差しをエミリーに向ける。彼女にも先ほど彼とオレリアが交わしていた不穏めいた会話が聞こえていたのだろう。

エミリーは「彼、こう見えてとっても強いから大丈夫よ」と、安心させるべくニッコリ笑いかける。

するとシアメルはちらりと御者に目を向けたのち、「私たちだけでは心もとないですし、お嬢様をよろしくお願いいたします」とフィデルに頭を下げた。

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