花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!

早速リタから「あの眼鏡の騎士団員と知り合い? もしかしてフィデルっていう例の彼?」と詰め寄られ、「微妙に違うわ」と首を横に振って否定していると、国王が出ていった扉から白を基調とした聖職服姿の年配の女性と少し遅れて白衣姿の若い男が入ってきた。

その瞬間、聖女クラスは大聖女ロレッタへ、薬師クラスは薬師院院長に対して、嬉しげな声が上がる。

大聖女ロレッタは言わずもがなだが、若干気だるげな顔で立っている二十代後半の紺色の髪の男、テド・オーモンド院長もまたエトリックスクール創立以来の秀才として語り継がれている人物なのである。

大聖女に反応しなかったエミリーやリタも思わず興奮していると、先ほどまで国王が立っていた場所まで進み出た大聖女ロレッタが軽く手をかかげた。

湧き立っていた生徒たちは再び静まり返る。

六十代前半くらいで年はオレリアとそれほど変わらないように見えるが、ロレッタは小柄で可愛らしい。


「みなさん、ようこそ。華樹祭は楽しんでいますか? 先ほど国王様よりお言葉がありましが、大聖樹はいつ聖女遷移が起きてもおかしくない時期に入っています。私の代もそろそろ終わりを告げることでしょう」


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