花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
この一帯に生命力がみなぎっているのを肌で感じ取り、同時に毒を放つ聖樹の周辺がこれほどまでの清浄さを保っているのは大聖女ロレッタの力の強さのあらわれに思えた。
先へ進みながら視線を小道の両脇に向けると、ところどころ騎士団員の姿を見つける。
目を凝らすと騎士団は石の彫像の前で見張りをしているかのようで、著名な芸術家の作品なのだろうかと予想する。
やがて鉄製の柵に行手を阻まれ、先頭を歩いていた騎士団員が門扉部分を開錠する。
ビゼンテ先生が「みなさん聞いてください」と手を叩いて注意を引いた。
「この先が特別に入ることを許されたエリアです。珍しい薬草が生えていたり、高価な芸術品が点在していますが、決して手を触れずに。わかりましたね」
生徒が「はい」と返事をし、ビゼンテ先生が満足げに微笑んでから再び列は動き出す。
エミリーは相変わらずリタとふたりで最後尾を進んでいく。
門扉を越えてすぐ視界に飛び込んできた女性の姿を象った石の彫像に、思わず口が半開きとなる。
女性の首には何連にも連なった真珠の首飾りが下げられていて、その瞳はガーネットの宝石が嵌め込まれているのか赤々と輝いている。