花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
慌てて他の彫像を探すとどれも同じように綺麗な輝きを身につけていて、これなら騎士団も警備に付くわけだとひとり納得する。
彫像よりも小道脇に生えている薬草に気を引かれ、葉に触れたくなるのをぐっと堪えていると、列が詰まったらしく進みがぴたりと停止する。
「どうしたのかしら」
前方を気にしながらリタが呟くと、クラスメイトが「最初に聖女クラスと大聖女様だけで大聖樹のそばに行くみたい」と状況を教えてくれる。
小道の先は開けているようで、背伸びをすればエミリーからも大聖樹のものらしき太い幹が見える。
そこに近づいていく大聖女とエスメラルダたちの姿も確認でき、もう少し良く見えないかしらと一歩前に進もうとした瞬間、後ろからエミリーは腕を掴まれた。
そのまま小道の脇の木立の中へと引きずり込まれそうになる。しかも声を上げるよりも速く、伸びてきた手に口元を覆われてしまった。
「エミリー静かに」
エミリーが恐怖を覚えたのは最初の一瞬だけ。自分の目の前に突然現れたのが、会いたいと思っていた美麗な彼だったからだ。
口から彼の手が離れてすぐ、エミリーは声をひそめて問いかける。