花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
ひとり先に歩き出したオレリアに対して、エミリーは拳を握りしめて「気になるわよ!」と叫んでから、小走りで後を追いかけた。
休日になるとモースリー城へ続くこの広場に、いくつも露店が並ぶ。
普段から賑やかなのだが、城では今、華樹祭が催されているため人出はいつもの倍あり、祭りが続く一ヶ月の間ずっとこんな具合だろう。
干し肉、服、切り花、アクセサリーなど、多種多様な品物が並ぶ中、人が大勢集まっている店が目につき、エミリーはまさかと期待に胸を高鳴らせた。
「よしよし、繁盛してるね」
しかしそこは、客の入りを見てニヤリと笑ったオレリアの店であることに程なくして気づいて、エミリーはしょぼんと肩を落とす。
オレリアの店の前を人を避けながら通り過ぎ、その三店先で商品を広げているメイルランド家の御者の寂しそうな姿を視界に捉え、慌てて駆け寄る。
「売れ行きはどう?」
「あぁ、エミリーお嬢様! えぇとそれは、見ての通りです」
御者に苦笑い気味に両手を広げられてエミリーは渋い顔をし、オレリアの店の繁盛ぶりを改めて見てため息をつく。
売っているのは、父が作った魔法薬。メインは回復薬で、毒消しや麻痺治しなどもある。