俺が好きなのは、世界一可愛い君
プロローグー怜ちゃんとの出会いー
「お父さん! もっと急いでよ!! お母さん待ちくたびれちゃうよ!」          
                    
                          

もうすぐ3年生になる僕は、ロケットのごとく家を飛び出し、パッと後ろを振り返ると、そう叫んだ。                                                  
                   
       
                  
すると、少しよれたジャケットを羽織ながら、一人の中年男性がでて来る。
                                      

                  
僕の、お父さんだ。

                     

「まぁまぁ、病院は目の前だろう? そう急がなくてもいいじゃないか」


                    
そう、今日は肺炎にかかってしまったお母さんのお見舞いに、家の向かいの病院へ行くところだった。


                    
「急ぐの!」



                    
僕はいっそう大きな声で叫んだ。

                    

「まぁまぁ」

                     

僕はお父さんのまぁまぁが大嫌いだった。

                     

どうしてお母さんはお父さんと結婚したんだろうと思うほど、お父さんのそれはカチンと来る。

                      

それでも僕はお父さんのことも大好きだ。
      


だからだろうと僕は思った。



そうこうしているうちに病院に着いた。



だって、目の前だから。                                 


                                 
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