俺が好きなのは、世界一可愛い君
その場の空気に耐えられなくなった僕が、困惑したままの頭でようやく
「違うの?」
と、質問に質問で返せば、怜ちゃんは僕の顔をじっと数秒見つめて、慣れない空気にドギマギしていた僕に、
「違わない」
と、今度は、泣き笑いのようなものを浮かべ、透き通るような声で、はっきりとそう言った。



それがとても嬉しく思えて、もう一度
「またね」
と、さっきよりも大きな声でそう言った。



サッと顔を下に向けた怜ちゃんだったけど、今度はちゃんと、またね、と返してくれた。 



病室をでる時に、ちらっと振り返ると、お母さんに背中をさすられている怜ちゃんの姿が目に写った。



怜ちゃんはうつむいていて、顔をよく見ることはできなかった。



お父さんは、嬉しそうな顔を僕に向けて、穏やかにニコニコと笑っていた。



居心地の悪さを若干感じて、僕は病院を飛び出した。



-これが、僕と、そして怜ちゃんとの始まりだった。

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