幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 そうして一日、一日と日が経っていくうちに、璃音がわたしの家にいたこと自体、信じられないような気持ちになってきた。

 あの日々は、実は幻だったのではないかと。

 でも……
 わたしの心に璃音の記憶が鮮明に刻まれているのも、また事実だった。

 仕事をしているときはまだ気が紛れた。

 でも、ひとりで家にいると、どうしても思い出してしまう。


 寝ぼけたときの顔。
 美味しそうにご飯を食べてたときの顔。
 真剣に仕事について語っていたときの顔。
 口の端をちょっと上げて、わたしをからかうときの顔。
 キスのふりをしたときの顔。

 そして、声。

 今でもたまに「ちさ姉」と璃音に呼ばれたような気がして、振り向いてしまう。

 そんなときは、耐えがたい虚しさに襲われた。
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