幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
「あいつとは、うまく行かなかったのかよ?」
「あいつ?」
「ちさ姉の片思いの相手」
「高柳先生のこと?」
「ああ」

 なんで、そんなこと思ったんだろう?
 わたしは眉を寄せて、璃音を見た。

「うまくもなにも……何にもないけど、先生とわたし」

 璃音は首を振る。

「嘘だ。見たんだよ。ここんちの前でふたりが抱き合ってるとこ」
「璃音がセブ島から帰ってきた日?」
「ああ」
「それはアクシデント。わたしがふらついて抱きついちゃっただけで。それに先生、つい最近、前から付き合ってた彼女と結婚したよ」

 璃音の手から力が抜けていった。
 そして、こつんと、自分の額をわたしにぶつけた。

「ひとり相撲だったのか……。おれ、てっきりちさ姉の片思いがうまく行ったもんだと思って……」
「それで……出ていったの?」
「ああ」
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