幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
***

「どうぞ」

 高柳先生が出勤してくるのはだいたい午前10時前後。
 その時間に合わせて、毎朝、コーヒーを淹れるのはわたしの役目。

 少しでもおいしいコーヒーを飲んでいただきたい。
 その一心で『喫茶店マスターのおいしいコーヒーの淹れ方講座』という動画を繰り返し見て、会得した。
 先生はコーヒーを口にすると、満足そうな顔を見せてくれる。
 その顔を見て、わたしの心も癒される。
 
「ああ、やっぱりうまいな。休日、君のコーヒーが飲めないと、なんだか物足りなくてね」

 その一言が、璃音のせいで、頭に血が昇ってカッカとしていた気持ちをスーっと静めてくれた。
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