幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 だから、初主演ドラマの話をもらったときはとても嬉しかったそうだ。

 ドラマなら、まだ自分の工夫や裁量でできることが多い。

 同じ台本でも、演じ方によって、まったく違う印象を与えることだってできる。

「ゆくゆくは俳優としてやっていきたいと思ってた矢先だったし。だから今回の仕事は本気で目いっぱい頑張りたいんだよ」

「そっか」
 ちゃんと先を見通してるんだ。
 なかなか頼もしいじゃん、璃音。

 仕事について語る璃音の眼差しは真剣そのもの。
 ちやほやされてるだけと思ってたけど、やっぱ、アイドルにはアイドルなりの苦労があるんだ。

 それに、まわりに愚痴を言える相手がいないんだろうな。

 長いあいだ、心に鬱積(うっせき)していた思いを吐き出したようで、ちょっとスッキリした顔してる。
< 55 / 150 >

この作品をシェア

pagetop