わんこ系男子と甘々な日常


みんなから注目を浴びているのがわかるのに。


蒼空くんから目を離せない自分がいる。


目を逸らしたくなるむず痒さがあっても、逸らすのがもったいないと感じる。


お互いしか見えないこの空間で蒼空くんと同じ時間を共有していたい……───


「───奈子ちゃん、授業に遅れるよ」

「あ……待たせちゃってごめんね。今行くよ」


少し先にいる友達の呼びかけで我に返った。
左腕につけている時計の文字盤を確認すると授業開始まであと3分を切っている。


これはちょっとまずいかもしれない。遅刻なんてしようものなら課題のレポートの枚数が増えてしまう。
早く特別室に向かわないと。


冷静さを取り戻し、後ろ髪を引かれながらも足先を蒼空くんとは反対の方向へと向けたとき。


「奈子先輩」


蒼空くんに呼び止められ、傾きかけた重心はあっさり元に戻る。
そして、


「また後でね。授業頑張って」


中学の頃と比べて少し低くなった声が私の耳元へと密やかに囁かれた。


私は蒼空くんのその挙動と言葉に。


……どうしようもなく心を揺さぶられるのだ。



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