わんこ系男子と甘々な日常
この二人のためにもさっさと図書室を出ていってしまおうか。
……いや、人気者で学年の違う蒼空くんとお喋りできる唯一の時間。
自分から捨ててしまうのはもったいない気もする……。
かと言って割り込んで"空気が読めない女"になるのもいやだ。
ただでさえ可愛くないのに空気も読めないなんて思われたくない。
ここは静かに自分の大好きな読書でもしながら、話が終わるのを待っておこう。
そう思い、カバンからいつも持ち歩いている文庫本を取り出そうとしたそのとき。
「───奈子先輩はどう思う?」
蒼空くんは無邪気な顔をして話を振ってきた。
女の子も蒼空くんの視線につられて私の方へとようやく目を向ける。
その目は私を映して怒りを帯びていく。
だから私は、
「知らない」
一言だけ素っ気なく答えて二人分の視線から逃れた。
ついさっきまで、女の子に対して心の中では強気でいたくせに。
明確な敵意を込められると自分の保身のために蒼空くんを傷つける。
自分勝手で最低な人間。