彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
「今日はキンパの番なんだ」


「あぁ。景子のやつも来るって言ってたんだけど、用事ができたから先に帰った」


「そっか」


ぼんやりと花を見つめる。


昨日よりも元気に咲いている花が増えた気がする。


でもそろそろこの子たちの時期も終わりで、次の植え替えが始まるだろう。


「で? なんで泣きそうな顔してんの?」


キンパに指摘されて初めて涙が目尻に溜まっていることに気がついた。


すぐに指先で拭い、「別に、なんでもない」と首をふる。


「元のクラス、あまりよくないのか?」


キンパは水やり続けながら何気ない様子で聞いてくる。


「ううん、今はもう平気」


雪ちゃんたちがかばってくれるおかげで、机のラクガキとか、足を引っ掛けられるようなこともなくなった。


「それでもそんな顔してるんだ?」


「ん……」


なんとも返事ができなかった。


恋のせいだなんて、とても言えない。


「さ、そろそろ帰るかな」


キンパは水やりを終えて、私へ向けてそう言った。


ここには私とキンパ以外誰もいない。


今日、佳太くんは来なかった――。
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