彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
☆☆☆

もう佳太と話をするためには花壇へ行くしかない。


翌日授業を終えた私はすぐに教室から駆け出した。


後ろから雪ちゃんが「また明日ね」と声をかけてくれたので、手を上げて返事をする。


廊下を走り、階段を駆け下りて、通りかかった先生から「こら、走るな!」と起こられて、それでもブレーキがきかなくて必死で花壇へ足を進めた。


たどり着いた時には息が切れて背中にジットリと汗が滲んでいた。


前髪はベッタリと額に張り付いていて、好きな人に見せられるような状態ではなくなっていた。


それでもそんなことも気にならないくらいに、今私は佳太くんに会いたい。


会ってちゃんと謝りたい。


できれば佳太くんへ感じている、この熱い気持ちだって思いっきり吐き出してしまいたかった。


息を切らして花壇の前で立ち止まると、1人の男の人が水やりをしているところだった。


その人は私の足音に気がついて振り向いた。


「あれ? こんなところでなにしてんの?」


「……キンパ……」


私は肩で呼吸を整えて呟く。


今日水やりをしていたのは花粉症だというキンパだった。


相変わらずの金髪で太陽の光でキラキラと輝き、水しぶきでキンパの周囲まで全部光って見えた。


眩しい光景に思わず目を細める。
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