彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
私が他の誰にも引き継ぎをしなかったのは、彼がいてくれると思ったからだった。


過信しすぎていたことだとわかっていたのに、言わずにはいられなかった。


すると彼は困ったように頭をかいて「ごめん。でもこれは君のための仕事だと思ったんだ」と弁明した。


彼が言おうとしていることは理解できる。


私がクラスに馴染めていないことを知っていた彼は、私のためにこの場を作ってくれていたのだ。


水やりをしに来ることで彼と会話ができる。


その時間はたしかに大切なものだった。


「花が枯れるのを黙って見ていたんですよね?」


彼は悪くないと思うのに、心の中に救ったモヤがそう言わせる。


「本当にごめん」


どうしてこんなに彼を困らせてしまうのだろう。


この心の中の苛立ちは一体なんだろう?


考えてみたら、ふと坂下さんの顔が浮かんできていた。


坂下さんのあの言葉から、彼がとても人気者だということが伺いしれた。


そしてきっと坂下さんは彼に恋をしているということも。


それがずっと心の奥にモヤとなって沈殿していたのだと気がつく。


なんだ、ただの嫉妬じゃないか。


そう気がついて、自分自身に嘲笑が漏れる。
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