白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる
大切な存在を、もう守り切れないと判断したから遠ざけた。
その判断を下したのは"クロード・グランハイム"だ。
自分だけの手で突き放す強さもなくて王家すら巻き込んでおいて、なのに未練を断ち切ることもできずに今こうして彼女を手元に置いている。
姿や名を偽ったところで、してあげられることなど何もないと言うのに。
「クロード」
マーガスは決してシェイドとは呼ばない。
一度だけそう呼びはしたものの、彼の中でやはり納得が行かなかったのかそれきりだ。以降は人前では話しかけること自体をしないし徹底していた。
それも偏に"クロード・グランハイム"の痕跡を完全に決してしまわないよう、彼なりに配慮してくれているのだろう。
なのに従兄の気遣いにすら、誠意で応えられない。
「婚約者殿からは、同意書は自分が預かっておくと言伝も承っている」
「それは、一体……」
意図が掴めずに疑問も不確かな言葉になった。
レミリアが預かるとは、ロゼリエッタとの婚約解消は受理されず宙づり状態になっているという認識で良いのだろうか。
しかしそれではロゼリエッタがダヴィッドと幸せになれない。ただその一方で、彼女の幸せを願いながらも繋がりが切れていないことに安堵する自分もいた。
その判断を下したのは"クロード・グランハイム"だ。
自分だけの手で突き放す強さもなくて王家すら巻き込んでおいて、なのに未練を断ち切ることもできずに今こうして彼女を手元に置いている。
姿や名を偽ったところで、してあげられることなど何もないと言うのに。
「クロード」
マーガスは決してシェイドとは呼ばない。
一度だけそう呼びはしたものの、彼の中でやはり納得が行かなかったのかそれきりだ。以降は人前では話しかけること自体をしないし徹底していた。
それも偏に"クロード・グランハイム"の痕跡を完全に決してしまわないよう、彼なりに配慮してくれているのだろう。
なのに従兄の気遣いにすら、誠意で応えられない。
「婚約者殿からは、同意書は自分が預かっておくと言伝も承っている」
「それは、一体……」
意図が掴めずに疑問も不確かな言葉になった。
レミリアが預かるとは、ロゼリエッタとの婚約解消は受理されず宙づり状態になっているという認識で良いのだろうか。
しかしそれではロゼリエッタがダヴィッドと幸せになれない。ただその一方で、彼女の幸せを願いながらも繋がりが切れていないことに安堵する自分もいた。