白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる
 今さらながら、そう思った。そしてそれは最善の手段にも思えた。

 その方がお互いの為だ。

 ロゼリエッタが得られなかったクロードの愛情を得ているレミリアに、これまでは羨望と、嫉妬を抱いて来た。だけど、こうしてレミリアと会って分かった。


 このままではいつかきっと、ロゼリエッタは心から笑えなくなる。憎みたくても憎めなくて壊れてしまう。


 『いつまでもレミリア王女殿下のお心を煩わせてしまうわけにはいかない』


 ロゼリエッタの為にと、そう周囲に決めつけられてクロードとの婚約を解消するに至った。

 ならばロゼリエッタだって、一度くらいはそんな言い訳をしても許されるだろう。それを謝罪の形として要求したっていい。


 だけど、決意を秘めたロゼリエッタより先にレミリアが言葉を紡いだ。

「ロゼ――。一月後に王城でまた、夜会を開くの。招待状を送るから、どうかあなたにも来て欲しい」

 ロゼリエッタの目の前が真っ暗になる。


 もう、そっとしておいて欲しい。


 その願いすらも、叶えられはしないと言うのか。

< 78 / 270 >

この作品をシェア

pagetop