sugar spot
「…な、なんか、用?」
嗚呼、私はどうしてこう
可愛くない言い回しだけが上手いのだろう。
自分で自分を殴りたくなって、でもなんの心づもりも出来なかったから許して欲しいと、よく分からない謝罪を胸で唱えた。
“……特注の件、大丈夫そう。
工場の椅子ラインのメンバーに、
リニューアルのスケジュールとか詳細送って。“
「と、特注…?」
有里が突然伝えてきたことは、全く話が見えなくて
素直に聞き返してしまう。
“…お前、もしかしてまだ聞いてないの?“
「なんの話?」
“……、分かった、ちょっと一回切る。“
「え…!」
男の反応は、何故だか盛大な溜息と
ちょっと舌打ちも混ざっていた。
でも、もう、切ってしまうのかと。
今週も、殆どちゃんと顔を合わせていなくて、それは仕事だから仕方ないけど、こんな風に予期せず声を聞いてしまったせいで、私は急に欲張りになっている。
“何?“
いつも通りの声は、全然なんの乱れも無い。
どうしよう、咄嗟に引き留めてしまったけど、
話題も何も考えてなかった。