sugar spot





私の言葉を聞き終えた3人から、当然、誘い合わせたように同じタイミングで視線を集めてしまった。


「……すみません。なんでもないです。」

「花緒、アーリーと晩酌したいんだ?」

「………オレンジジュースを注文しますが、おつまみも何か一緒に頼みますか。」

「何その健気さ。」

「梨木ちゃん可愛いね……」

「店員さん!注文お願いします!!」


3人から客観的に感想を述べられ、居た堪れな過ぎて
大きな声で近くの店員さんを呼ぶとその様子さえ笑われてしまう。



自分の飲み物と適当におつまみを何品か頼み終えた後、

「梨木ちゃん。有里君は、きっと梨木ちゃんがそう思ってくれてるってだけで嬉しいよ。」


ちひろさんが予言通りビール2杯目にあっさり進みながら花が綻ぶように笑って、そう伝えてくれる。


この人の笑顔に、私は弱い。


「……そう、でしょうか。」

「何か、不安があるの?」

「……私ばっかり、」

「うん?」


___私ばっかり、いつも、
あの能面に会いたい気がしてしまいます。



そしてそれは、本音をするりと溢してしまいたくなる、そういう弱さだ。

嗚呼、またこんなの、すぐ傍で聞いてる厄介コンビに揶揄われるに決まってるのに。


火照ってより一層働かない頭を恨めしく思うけど今更もう遅い。


あの男は、いつも表情からその感情を読みにくい。

「会いたい」とかそういうことも簡単に言うタイプじゃないと分かってる。


だけど。

今朝メッセージの中で家に行って良いのかと尋ねた時も、やはり行けなくなったと伝えた時も。

「別に良いけど」って、そういう感情の起伏が見えにくい返事だった。

それ、私が居ようが居まいが“取るに足りない“ってことなのかな。

好きなものを一緒に観たいのは、
できるだけ、一緒に居たいって思ってるのは、
私だけだったら、どうしよう。

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