ツインレイ⋅⋅⋅唯一無二
(21)完了

事務所に駆け込んで来た
十川 幹夫は、
「どういうことだ?!
職場で恥をかいたじゃないか?
名誉毀損で、訴えてやる。」
と、息巻いて言う十川氏に
「どうぞ、されて下さい。
約束を反故にしたのは十川さんです。
支払いがされない間は
差し押さえは解除されませんので。
どうぞ、お引取りを。」
「何を!!」
「大きな声で、わめいて
恥ずかしくないのですか?
このままですと、上の方にも
話しをすることになります。
子供より体裁を気にされる方ですから
早いほうが良いですよ。」
と、伝えると
苦虫を噛み潰したような顔して
「覚えていろよ。」
と、言い事務所のドアをバンと閉めて
出て行った。

私は、直ぐにメールで
涼さんに伝えた。

二日待ったが
まだ、振込も無ければ
連絡もないから
ゆかりは、十川の職場へ連絡をして
総務部長、総務課長、庶務課長と合う事に。

三名の方に内容を報告して
取り決めの書面、催促状と
差し押さえ状を見せ
先日、事務所にきての暴言も
録音していたから聞かせた。

三名は、呆れを通り越して
居た堪れないようだった。

総務部長は、
直ぐに美桜さんの事を訊ねてくれた。

私が、涼さんから伺っている
美桜さんの生い立ちからの話しを
簡単にした。

美桜さん自身は、
ずっと、ずっと辛かったと思う
悲しかったと思う
それがどれほどのものか
私達がわかるはずはない
当事者でないと。
ただ、救いは涼さんと涼さんのご両親が
いてくれた事だ。

総務部長としても
十川さんの仕事ぶりには
信頼があるのだろうが
そんな一面があるのかと
肩を落とされていた。

だが、きちんと約束は
守らないと行けない。

「早急に対処します。」
と、言って頂き
後、一週間待つ事をお伝えた。

三日後には、振込があり
領収書を送り
美桜さんからの支払いも
舞桜さんへ行って
受取書を舞桜へ送付して
返信してもらう事に。

総務部長には、ご報告とお礼の
電話を入れさせて頂いた。

総務部長は、
「申し訳ありません。」
と、言われて
「美桜さんの健康を願います。」
と、言って頂いた。

私は、全てを涼さんに報告して
一華と哲也さんにも報告した。

二人は、父親に呆れながらも
終わったことへの
労いの言葉をくれた。
< 27 / 54 >

この作品をシェア

pagetop