ツインレイ⋅⋅⋅唯一無二
(28)どうして

••幹夫


両親の墓参りに来た。

本当に数々の
親不孝を謝りたい。

亡くなってからでしか
こんな気持ちになれなかった事を
恥じている。
情けなく思っている。
人間として······
家族の長として······
そんな事もわからないなんて······

異動の内示のときも
ただ、ただ、怒りだけしかなかった。

だが、娘、舞桜の言葉
長く一緒にいた妻、桜の言葉
「もっと早く
いや、美桜が産まれて実家に
いる間に貴方とお別れしていたら
今は、その後悔ばかりです。」
と、桜に言われた。

本当に、俺はどれだけ
家族を回りを苦しめていたのだろうか。

中津先生の友人である
奥菜先生と沢山話をした。
奥菜先生もお忙しいのに
こんな俺との時間を作ってくれた。

今は、お恥ずかしいが
ボランティアみたいな事を
させてもらっている。
海岸のゴミを拾ったり
河川や公園を綺麗にしたり
子供達が遊ぶのに
怪我などしないようにと。
自分の子供を苦しめておいて
と、思うが·······
美桜には、二度と会う事はない。
中津先生からも奥菜先生からも
「あなたは美桜さんと
関わらない方が良い。」
と、はっきり言われた。


はっと、思い大木の後に隠れる。
美桜達だ。

美桜の笑顔を初めて見た。
舞桜の夫だった慶といる。
間に男の子?
歌を歌いながら
二人を見上げてニコニコしている。
まして、英語?
美桜の子か?
慶との?
桜は、知っていて日本から
出ていけと美桜に言ったのか。
全て······俺の····せいだ·······

男の子の歌に
妹の涼が一緒に歌い
五人は笑いあっている。
涼の横には、優しい顔した
男性が。
涼と手を繋いで歩いている。
とても幸せそうだ。

どうして、どうして、と思う。

瀕死の桜を疑い、激しく罵り
赤ちゃんの血液の説明も
頭に血が登り、まったく聞いていない。

本当に·····情けない······
それにつきる。

先生方が言うように
俺は、美桜には関わらない方が良い。
と、言うか、関われない。
あれだけの事をしたのだから。

今は、自分の出来る事を
やって行く。

美桜達が去ってから
両親の墓に行き
お詫びと近況を話した。
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