拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
牧野くんには本当に感謝だ。牧野くんにしてみたらとんだ迷惑だったもしれないが、私的にはタイミングの良さに感謝だ。

すっかり良くなったと、お礼のメールを送ると、よかった、と短い返事がきた。
遠征だと言っていたから忙しいのだろう。あまりメールを続けても迷惑だと思ったので、早々に切り上げ、今度改めてお礼をすることにしよう。

あれから体調もすっかりもどり、仕事モードの日々が2週間ほど過ぎたころの土曜日の夜、牧野くんから着信があった。

「この前はありがとう」

「良くなった?」

「すっかり。本当に助かった」

「これから出てこられる?」

まだ夕方4時を過ぎたばかりだし、一緒に夕ご飯を食べるにはちょうどいい時間だ。

「1時間かかるけど、大丈夫?」

待ち合わせの場所を決めて、急いで支度をする。
前も、こういうことあったな・・・・。確か実家にお邪魔してお母さんにも会ったんだった。よくわからない一日だった。

あの頃から1年半以上たつ。
牧野くんが菅原さんといつから付き合っているのかはっきりとはわからないが、あの時はまだ牧野くんのことが好きて、彼女もいないと思っていた時期だ。
焼肉屋さんに行って、実家に連れていかれて、少し期待したのも確かだ。
しかし実際はその後頻繁に連絡を取ることないまま、菅原さんと付き合っていることを知ることになる。

今はもう牧野くんに恋愛感情はないが、あの頃のことを思い出すと、胸がチクりと痛む。
浦橋くんと順調な付き合いの中で、牧野くんのことを思い出すことは一度もなかったのに。

浦橋くんのことをどうしても思い出してしまう今は、休日の誘いは有難い、しかし、その寂しさを牧野くんで埋めるのは何となく微妙な気はするが今は、良い同期の一人だ。

待ち合わせの場所に行くと、やはり車で来ている。

「この前はありがとう」

「かなり熱高かったけど、結構あるの?」

「ううん、記憶にないくらい久しぶりだよ。食料とかとにかく助かった。」

ありがとね、ともう一度言うと、おう、と言って笑った。

体調が良いんだったら軽く食べてカラオケに行こうぜ、と洋風の居酒屋さんへ行き、軽くどころかがっつり食べて、カラオケに向かう。
久しぶりのカラオケだったのもあり、二人で交互に歌い、あっという間に2時間以上たってしまった。

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