拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
牧野くんは明日は午後からの練習のため少しくらいは遅くなっても構わないとのことだった。

更にそれから1時間ほど歌ってから、ボチボチ帰ろう、とコンビニに寄り、アイスを買ってくれる。
1つのアイスを半分こして食べる。ひんやりしていてとても美味しい。

車で家まで送ってくれて、別れ際に、この前の休日に買っておいた、スパイク磨きとハンドタオルのセットを渡す。たくさん持っているのだろうが、男の人にお礼なんて何を買っていいのか本当にわからない。スパイクのメンテナンスセットなら消耗品だし、いくつあっても困らないだろう。

気を遣わなくていいのに。ありがとう。と言って受け取ってくれた。

結局、何も話ができないままになってしまった。

あの熱の日、何か用事があって連絡をくれたわけじゃないようだった。時間が空いてるなら、今日のようにご飯に誘おうと思っていた、ということだったが結局菅原さんとの馴れ初めも聞いていない。
牧野くんも、私の部屋の中の様子を見て、男の人の存在は感じたはずだ。浦橋くん用のあれこれが部屋のあちこちにある。間違いなく気付いたはずだが、何も聞いてくることがなかった。

そうだ、明日はそれを片付けないといけないな、とぼんやり思いながら眠りについた。


あれから1か月・・・
仕事のスケジュールは落ち着いていて、前ほど時間に追われることはなくなってきているが、既にいくつかのシステムが運用開始になっているためバグもだいぶ出てきている。
基本的にバグ対応はベンダの役割になっているが、仕様変更になる場合はこっち側の作業が夜通し行われることもある。
私のパーツに関しては幸い今のところないが、チーム全体でいうと、結構なボリュームが出てきている。私もサブで入ることがあるが、今のところそこまでの負荷はない。

しかし、どれだけ検討を重ねても、仕様ミスが出てきてしまう。
私のパーツも見直さなければならい箇所がでてきそうだ。
今のところ一旦バグ修正でテストしているところだが、今のうちから頭から見直しをしている。

20時過ぎ、テスト完了の報告が入り、明日、詳しく状況を説明してくれるとのこで、今日は退社することになった。
明日の打ち合わせを待たなければなんとも言えないが、気が気じゃない。



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