拗らせ片想い～理系女子の恋愛模様

翌朝、出社早々に須藤さんが私の席までやってきた。朝から来るなんて・・・珍しい。須藤さんが異動してから２か月たつが、初めてじゃないだろうか。

「バグ出てるって？」

挨拶もそこそこに、いきなり聞いてくる。昨日の出来事なのに、さすが、耳がはやい。

「はい。すみません。今朝の状況次第で仕様変更になります」

「想定できる範囲でいいからスケジュール見直しておいて」

「わかりました」

できたらメールしてね、と言いながら、今度は吉田さんのところに行き、何事か話をしている。
今回仕様変更になれば、今後のスケジュールにも影響が出るだろう。なるべく早く対応しないと、収拾がつくなくなる。

急いで仕様を見直し、案を作成してから、試験期間も計算に入れてスケジュールを作り直す。
そしているうちに、吉田さんに呼ばれて打ち合わせに入ると、やはり仕様変更はま逃れないらしい。しかし、次の工程の試験が終わってからにするため、少しだけ猶予がある
そうは言っても早前に仕上げたいからね、と来週中に目途を立てるように作業を進めることになった。

取り敢えず、今週中にという最悪の事態はま逃れたのの、急がないといけないことには変わらない。
できるだろうか・・・。他にも次期公開予定の仕様部分も並行して進めなくてはならない。
プレッシャーに押しつぶされそうだ。

こんな時、今までは浦橋くんが側にいてくれた・・・。いつも優しく励ましてくれた。だけど・・・今は一人で乗り越えないとならないのだと、改めて思った。


それから2週間ほどたったある日、
社食でお昼をとり、戻ろうとしたところで真田君に呼び止められた。

「久しぶりだな。元気？」

「元気だよ。久しぶりだね」

「うん、顔色よさそうだね。一時期ヤバそうだったけど」

ちょうど浦橋くんとのゴタゴタと仕事でのミス続きで精神的に参ってた頃だ。その後実際に体調を崩したし、結構な酷い顔をしていたのであろう。

「最近、浦橋とは？」

少し言いにくそうに真田くんが聞いてきた。

「・・・会ってないかな」

そうだよな、という様子で、コクコクと頷くと、そのまましばらく無言のまま立っていた。しかし何か言いたそうだ。
もう会わなくなって２か月近くたってしまった。

「・・・今すぐじゃなくていいからさ。もう一度話す時間作ってやってよ」

「・・・」