拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
「アイツの話・・想いとか、きいてあげてしいんだ。満里ちゃんの気持ちが落ち着いたらでいいからさ」

「・・・一応別れるって話をしたんだけど」

「うん。満里ちゃんのつらい気持ちも良くわかるし、どっちが悪いとかは俺も思ってないよ。満里ちゃんも、だいぶ混乱したみたいだし、アイツを傷つけるから離れたのもわかるし。
とにかく、落ち着いたら話してみてほしい」

「浦橋くんは、真田くんに何て言ってるの?」

「・・・酒飲むとさ、満里ちゃんの話ばっかりするんだよ。アイツ本当に満里ちゃんのこと好きだったんだなって思うことが多くてさ。
少し時間がたって、もう一度話してみたら、満里ちゃんの気持ちも変わるかな、なんてちょっと思ったんだけど。
・・・おせっかいだよな。ごめんね」

困ったように少し笑い、謝ってきたが、私は曖昧に笑うことしかできなかった。

それからしばらくのあいだ、迷いながらも結局私から浦橋くんに連絡を取ることはなかった。


金曜日の夜、長くかかっている仕事にてこずり行き詰ってしまい、来週もう一度吉田さんと打ち合わせをして仕切り直ししよう、ということにになってしまった。忘れたくて、久しぶりにお酒が飲みたくなり、和美を誘ってみたのだが先約があるようだった。

真っすぐ帰る気になれず、田中さんのお店に一人で向かう。

「いらっしゃい」

「こんばんは」

遅い時間のせいか、田中さんはすでにカウンターの中にいた。
浦橋くんと会わなくなってから、ここに来る頻度が高くなった。
最近和美とも会えないままだ。一度話を聞いてほしくて誘ったが結局和美の仕事が終わらず、ここで一人で飲んで帰った。その日がきっかけとなり、一人でここに来ることが多くなった。

田中さんに、さっぱりしたカクテルを作ってもらい、ゆっくり飲んでいても仕事のことが頭からから離れない。
プライベートな時間は仕事のことは考えたくないのだが、私はそれが上手くいかない。逆に浦橋くんとのゴタゴタが仕事にも影響しミスが続いた時期もあった。
全体的に私は何事も切り替えが苦手だ。
お酒で紛らわすことができたら、と思うのもあり、最近ついて通ってしまっている。

「何かあった?仕事?」

「・・・どうしても気になってしまって・・・。頭から離れないです」

「満里子ちゃんは真面目だからね」

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