拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
「何とかやってる。浦橋くんは?相変わらず出張多いの?」

「最近ようやく落ち着いてきたところ」

そっか、と言いながら浦橋くんの顔を見ると、少し間私の顔を見つめたまま無言でいる。私も見つめ返すと、困ったような顔をして、ふう、と小さくため息をついて言った。

「少し話してもいいかな?」

「・・・うん」

「あの日、満里子に別れたいって言われた日、満里子の顔色が悪くて体調もすぐれないみたいだったから、翌日満里子の家まで行ったんだ。」

翌日は、確か高熱が出て一日寝てたんだ・・・。そうだ、牧野くんが様子を見に来てくれてて、とそこまで考えた時、まさか、と思い立ち、浦橋くんの顔を見る。

「牧野が満里子の部屋から出てきた」

やっぱり・・・

「・・・それは・・・熱がでて動けなかったから買い物に行ってくれて・・・」

「うん。コンビニの袋いっぱいに買い物した牧野が部屋にまた入ってって。そしたらまたすぐ出てきて、また何か買い物して部屋に入って。様子がおかしかったから、もしかしたら満里子が具合悪くて動けないのか、って思ったんだけど、やっぱりそうだった?」

「うん・・・」

「何で牧野が?」

「・・・よく覚えてないの。あの日の夜・・・浦橋くんと別れた後、電話が鳴った気がして・・・浦橋くんかな、って思ったけど、怠くてそのまま確認しないで寝落ちしたって思ってたの。そしたら翌朝牧野くんが来てくれて。電話で私が具合悪いって言ったって。確かに携帯に牧野くんから着信あったし。無意識ででちゃったみたい」

「そうなんだ。・・・牧野とは時々会ってたの?」

「・・・全く会ってない。浦橋くんと付き合ってるときは1度だけ電話で話したことがあったけど、それ以外は連絡もとってないよ」

浦橋くんとお付き合いするだいぶ前に、もう牧野くんへの気持ちは区切りをつけていた。
浦橋くんのこと一緒にいる時間が一番心地よかったし、好きという気持ちに間違いはなかった。


「俺ね、研修の時満里子がいつも牧野と一緒にいるのが悔しくてさ。俺には付き合っている人がいるのに、仲の良い二人を見るたびにイライラしてた。満里子のあの安心しきった笑顔を俺に向けてくれないかなってずっと思ってたんだ。

だから再会してからは満里子と一緒にいる時間を大切にしてたし、満里子の心にまだ牧野がいるか、たまに嫉妬したり不安になったりしながら、満里子の気持ちを探りながら近くにいたんだ。

一緒にいる時間が多くなって、俺もそれなりに自信がもてるようになってから、満里子に告白して、満里子もOKしてくれて。
真面目な満里子が牧野に気持ちがありながら俺と付き合うなんてことは絶対にない、って信じてたから、OKもらったときはすごく嬉しかった」
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