拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
翌朝起きると、また仕事のことが頭に浮かぶ。

溜まった家事をしているときも、あれやこれや考えてしまって、イライラしてしまうので、街に出て買い物して、映画でも見よう、と、出かけることにした。

出かける支度をしながら、牧野くんのことが一瞬頭をよぎる。

最後に会ってからまただいぶたつが、こういう時、また不意に電話をくれて、メシ行かない?って誘ってくれれば、良い気分転換になるのにな、と思いつつ、彼女がいる人に自分から連絡をするようなことはしたくない、と思い直し、家を出る。

ショッピングモールにつき、アクセサリーショップの前を通ると、ふと、浦橋くんのことを思い出す。
元カノが、ここのショップのネックレスをしていて、浦橋くんが選んでくれたって言われて、言葉にはいい表しづらい、モヤモヤとした嫉妬とショックと嫌悪感と入り混じった、とても悲しい気持ちになったのを思い出してしまった。

どうして私ってこうなんだろう。何もかも嫌なことしか考えられない自分の性格がホトホト嫌になる。
はあ、とため息をつき、お店の前を離れようとしたと、振り返ると、浦橋くんが歩いてくるのが見えた。

「久しぶり」

「・・・久しぶり。偶然だね」

「うん。元気?」

「うん、浦橋くんは?」

「元気。少しだけ、時間ある?」

時間はあるが・・・何を話せばいいのかわからない。
この前社食で行き会った真田君の言葉を思い出す。浦橋の話を聞いてやってほしい、と確か言っていた。

大丈夫、と頷くと、じゃあ、あそこ、と向かい側にあるカフェを差し
、そっちに向かって歩いく浦橋くんの後ろをついて行った。
少し痩せたな、と後ろ姿を見て思う。
顔つきも少し変わっていた気がする。相変わらず綺麗な顔をしているが、精悍さが加わって、更にかっこよくなっていた。

向かい合わせで座るとすぐに、少し痩せたね、と言ってきた。

「浦橋くんこそ。ちゃんと食べてる?」

「ふっ。こっちのセリフ。忙しいと面倒になってすぐ食事抜くだろ。」

いつも私の心配ばかり・・・。仕事で行き詰って愚痴を言うのも、疲れたといってグズる相手も、いつも浦橋くんだった。そんな私の相手を面倒くさがらず、優しく相手してくれていた。

それなのに、私は浦橋くんを傷つけた。
そんな自分が許せないから後悔するのすら間違っている。だけど・・・こんな優しい浦橋くんを手放したのは、私だ。

「元気にしてる?仕事、どう?」

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