拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
今日はお酒が飲みたいらしく、牧野くんは車ではなかった。
近くの居酒屋に入り、私はお腹が空いていたので少し食べたが、牧野くんはひたすら飲むだけだった。

試合に出られないことも多く、プレッシャーも半端ないが、それなりに毎日頑張ってるようだった。
私も自分の仕事がいっぱいいっぱいになることがあるが、牧野くんの話を聞いていると、私の悩み何てほんの些細なことに思えてきて、次元が違う気がするし、体調管理にも気を遣うだろう。
まあ、その割にはお酒の量が多い気がするが・・・。これくらいの量が普通なのかもしれない。

牧野くんはいい具合に酔いが回り、カラオケかゲーセン行こうぜ!とご機嫌だったため、カラオケだと長くなりそうだし・・・ゲーセン行こう、と久しぶりに行くことにする。

歩きだすと、思ったよりベロベロに近い状態であることがわかる。大丈夫かな、と、できるだけ道の端の方を歩こうと、体を寄せると、私の腰をグイっと引き寄せてくる。そういうつもりで体を寄せたわけじゃないため、肘で牧野くんの体を押して、少し距離を置こうとするが、今度は腕をとられ自分の腕に巻き付けるようにとられてしまった。

仕方ないのでそのまま歩いていると、少し呂律の回らない口調で言った。

「俺さ、お前にしときゃよかったと思ってさ。しくじったよな。惜しいことしたよな」

「・・・・はい?」

「あの時、お前にしとけばよかったと思って。しまったよな。」

また同じことを繰り返して言われ、色々が頭をよぎる。あの時ってどの時のことだろう。研修の時?それとも違うタイミングのことか・・疑問に思うことを聞いてみる

「あの時って?」

「あの時だよ。最初の・・・」

「研修の時?」

「まあ、そん時とか、あの時とか・・・」

「・・・・・」

やはりだいぶ酔っているのだろうか。会話が続かない気がする。

結局その話が続かないまま、ゲームセンタに到着する。久しぶりに来るその場所は、相変わらずごった返しているが、牧野くんと一緒にゲームしたときのことを思い出し、少しワクワクしてくる。

いくつかのゲームを回った後、牧野くんがコインゲームを始めたので、横に座って見ていると、またさっきの話を始めた。

「ホントに惜しいことしたよ。な?」

「・・・・・」

な?と言われても、何て返していいのやら・・・。

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