拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
牧野くんのことが好きだった時、研修で一緒のときこそ、少しいい雰囲気になっていた気がしなくもない。しかし、その後は連絡も途絶えがちになり、、思うように会えなかった。両想いになることはまずない、と思っていたし、実際完全な片想いだった。そしてそれが牧野くんに彼女ができ、長い片想いに終止符を打ったのだ。

何を急にそんなことを言い出したのか・・・彼女と上手くいっていないのか、あるいは別れたのか・・・

それに、『惜しいことした』『お前にしておけばよかった』とか、私が牧野くんのことが好きだということが前提で、牧野くんが選ぶ立場のように聞こえて若干おもしろくない。

「私と付き合えばよかった、ってこと?」

「そうそう。今更、だけどな」

今更、とはどういう意味だろう。やはり、もう菅原さんと付き合っているから、ということだろうか。
何だか一方的な話のような気がしてきて胸がもやもやする。

「お前ってさ、何て言うか、儚げで、守ってやりたい感じでさ。」

「・・・・・」

牧野くんは私のことそういう風に思っていたのか。
実際の私は我儘で、嫉妬深くて、最悪なのに・・・。

「私はそんなんじゃないから、私にしておかなくて良かったね。」

口では冷静に返したが、牧野くんのそう思われていたのが嬉しく、ジワリジワリと胸にしみる。

だったら何で、私じゃダメだったのか・・・どのタイミングが間違ったのか、本当はすごく知りたかった。その一方で、今更知ったところでどうしようもない、という気持ちも湧いてきて、やはりこれ以上聞くことができない。

それに・・・そんなこと言われたら、また牧野くんのことを好きになる。もう報われない片想いはしたくないのに・・・・

色々勝手に考えて動揺しているが、所詮、酔っ払いの戯言なのだろうし、真剣に悩むだけ時間の無駄化もしれないし・・・そう頭を切り替え、今牧野くんと一緒にいる時間を楽しむことにした。

結局1時間以上ゲームを楽しんで、帰ろうか、と外に出て歩き出すと、来た時と同じように、また私の腰をぐっと引き寄せて歩き出す。これ、歩きにくいな、と思い、少し距離を取ると、牧野くんの腕が離れた。

「もう帰る?」

時間を確認すると、もう23時すぎだ。そろそろ帰らないと・・。終電はまだ大丈夫だと思うが、ここでまた飲み直す、となったら確実に間に合わないだろう。

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