拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
結婚が先になるのはさみしいが、ご両親と一緒にいるのもいごごちがいいのだろう。

結婚か・・・
私はいつになることやら。いつになる、どころか一生縁がないかもしれないな、と思ったら、急に寂しさが押し寄せてきた。
しかし、しばらく恋はしないほうが気が楽だ。


その週末

めずらしく、間を空けずに牧野くんから連絡があった。相変わらず、夕方に電話があり、今からメシ行かない?といういつものパターン。

前に一度連れて行ってもらったことのある、牧野くんの友達がやっている焼肉屋さんに行くことになった。
お酒を飲みたいから家に車を置きに行きたい、と、一度牧野くんの実家に寄ることになった。

車を置くだけで、すぐにお店へ向かうのかと思っていたら、上がって、と言われ、おずおずとお邪魔する。
誰もいなければいいな、と思っていたのだが、お母さんがキッチンにいらっしゃる。

こんにちは、お邪魔します、と挨拶すると、食事の支度をしているのだろうか、一瞬手を止めて、こんにちは、とニコっと笑い、挨拶を返してくれた。
牧野くんに、座って待ってて、と言われて、そっとソファに腰かける。

「どうぞ」

とお母さんに、グラスに入ったお茶を出していただき、恐縮しながらいただく。

牧野くんがバタバタと戻ってくると、お母さんが牧野くんに向かって言った。

「あんたたち、ご飯は?」

「これから出かけるから要らない。」

牧野くんはそう答えて、いくぞ、っと私に声をかけて部屋を出て行く牧野くんの後を、慌てて追いかけるが、いただいたお茶のグラスを片付けなきゃ、と思い返し、グラスを持ち、キッチンの流しの横にグラスを置き、ご馳走さまでした、とお母さんに向かって頭を下げる。

いえいえ、といいながらグラスを受け取ってくれたお母さんにもう一度頭を下げてから、玄関を出ると、牧野くんが靴を履きながら待っていた。

なんだったんだろう・・・・。こんな短い時間だったら、わざわざお邪魔することもなく、ここで待っていたのに。よくわからない。

焼肉屋に行くと、牧野くんが適当に頼んでくれて、順番に焼いてくれて、タレも、これがこれ、こっちがこれ、と全部やってくれる。
店長の友達もたまにテーブルに来ては雑談をして、牧野くんと楽しそうに話をしている。

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