拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
「ううん。まさか今日会えると思わなかったから、会えてうれしかったよ」

「じゃあ、明日な」

そう言ってまた私の体を引き寄せて一瞬ギュっとした後、頭をポンと撫でて、手を振って自分の部屋の方へ向かって歩いて行った。

1か月間、ほとんど毎日一緒に過ごしてきて、こんなに酔った牧野くんを見たのは初めてだ。
研修とはいえ、毎日課題に追われている私たちは、やっぱりそれなりにストレスもたまる。学生時代一緒にサッカーをやっていた仲間たちとの飲み会が相当楽しかったのだろう。

前に一緒に食事に行った牧野くんの友達たちの、爽やかで感じがよかった人たちの顔を思い出しながら、少し羨ましくなった。
あんなに気分よく飲める友達がたくさんいるなんて・・・仲が良くて羨ましい。

私にも大学時代仲良くしていた友人たちはいるが、卒業以来、メッセージや電話でやりとりすることはあっても、牧野君たちみたいに集まって食事したり飲んだりしたことはまだ一度もない。
社会人になったばかりでまだ余裕がない時期だから仕方がないのかもしれないが、今日の牧野くんを見ていたら、少し寂しくなった。

しかし、明日は同期の大学会だ。同期との交流の場だし、牧野くんも一緒だから心強いし、結構楽しみだ。身体もだいぶ冷えてしまったし、明日に備えて早く寝よう。

翌朝、7時には目覚め本を読みながらコーヒーを飲んでいると、8時過ぎに携帯の着信がなった。牧野くんだ。

「おはよ。起きてた?」

「起きてたよ。牧野くん早いね。昨日だいぶ酔ってたけど大丈夫?」

「そう?そこまで酔ってなかったぞ。お前、飯は?」

「さっきパン食べた。」

「そっか。まだだったら誘おうと思ったけど、じゃあ、また後でな。」

昨日の様子は明らかに酔っていたが、本人にとったら大したことはなかったのだろうか。何事もなかったような口調で話す牧野くんだったが、昨日の私と話したことは覚えているのだろうか。

昨日はやたらとスキンシップが多くて恥ずかしかった。牧野くんはただ酔っぱらっただけだと思うし、きっと覚えてないと思うけど思い出すと気恥ずかしい。

11時に支度をして出ていくと、牧野くんは既に携帯をいじりながら待っていた。

「ごめんね、お待たせ」

「おう。昼メシ、新宿でいいだろ?」

「もちろん。何食べる?」

「時間あるし、映画行かない?その近くで軽く食べようぜ」
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