拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
見るからに強そうな、茶色の液体が入ったグラスを差し出され、ほんの少しだけ口付けると、口の中がカッと焼けるような感覚し、少し咳き込んでしまう。
須藤さんの顔をチラリとみると、ハハっと笑い、楽しそうだ。

「強いんですね」

「普通だよ。さすがにこれは2杯飲んだら回ると思う」

1杯飲めるだけでも相当だと思うが・・・・

「柴田に聞いたら来週金曜日がいいって言うんだけど、どうかな?」

「和美にも聞いてみます」

「西田さんはOKだって。柴田が既に聞いたみたい」

そうか、柴田さんは和美と同じ部だった。来週の金曜日だと・・・・うちの部の懇親会が水曜日だ。須藤さんは相変わらず忙しいと思うが、大丈夫なのだろうか。それを言うと、問題ない、とのことだが・・・確かに須藤さんほどになれば、業務量のコントロールもうまいのだろう。何もかも見習いたい。

何となく飲み足りなさそうな須藤さんだったが、もう遅いから、とお店を出ようとすると、カラン、とドアの音がなり、田中さんが入ってきた。

私と目が合うと、ニコっと笑って私のほうへ歩いてくる。

「満里ちゃん、久しぶり」

「こんばんは。今からですか?」

「うん、少しだけ」

もう22時を過ぎている。これからカウンターに入るのだろうか。和美の話だと、そろそろお父さんの会社に転職すると言っていたので、もしかしたらもう元いた会社は辞めたのかもしれない。今度機会があったら聞いてみよう。

隣に立っている須藤さんにむかって、いらっしゃいませ、と軽く頭を下げて挨拶をしている。須藤さんも、今度またゆっくり来ますね、と話をしているところをみると、それなりに言葉を交わすくらいは常連なのだろうか。

「満里ちゃん、飲んだ?だったら送るよ」

「ふふっ。田中さん、これからお仕事でしょ?私は大丈夫です」

来たばかりなのに、私を送らせるわけにはいかない。笑いながら断ると、ホントに大丈夫?と心配そうに私の顔を覗き込む。
すると、須藤さんが私の腕をスッと引いて、そろそろ帰るぞ、引っ張り歩き出す。

振り向きながら田中さんに、また来ますね、と声をかけると、ニヤっとして手をひらひら振ってくれた。

「仲良いね」

「元々は和美の知り合いなんですけどね」

お店にいるときとは打って変わって少し気だるそうな感じで何だか不機嫌そうだ。酔いが回ったのだろうか。

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