拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
木村君はいつも仕事でもフットワークが軽いとは思っていたが、ここまで細かいことに気づくとは思わなかった。
本当に頼りになる。はっきり言って頼りっきりだった。

「この後飲み直さない?お礼におごるよ」

「マジで?あ、でも中澤呼んでいい?ちゃんと割り勘にするから」

「今から呼ぶの?さすがにもう帰っちゃったんじゃない?」

「いや、今日は残業だって言ってたからまだ仕事中かも。連絡してみます」

そう言ってスマホを出して操作していると、須藤さんがポン、と木村君の肩を叩いた。

「お疲れ。今日はサンキュな」

「いえ、須藤さんが動けないのはわかってたんで。お疲れ様でした」

「マジで助かった。佐多一人じゃ無理だったよ」

「うん。ありがとう」

私も横で頷きながら改めてお礼を言うと、そんな、何度も言わなくてていいっす、と照れたように言うので、思わずかわいいな、とクスっと笑ってしまう。

すると、須藤さんが不機嫌そうに、顔を歪めると、スマホを見ながら言った。

「飲みなおそうぜ。木村も佐多も全然食べてないだろう」

「・・・そうっすね。3人で行きます?」

木村君が私の顔を見ながら聞いてきた。たった今中澤君も呼ぼう、と言っていたところだけに、どうしようかと思うが、木村君が須藤さんとゆっくり話すいい機会でもあると思い、中澤君とはまた今度でいいだろう、と思い、そうだね、と返事をする。

そこへ、須藤さんっ、と甲高い声が聞こえて、振り向くと、須藤さんの部署にいる派遣の梅田さんだ。
今日も巻き髪にしっかりメイク、ふんわりスカートと女子力全開の可愛らしさだ。

「この後どうしますか?」

須藤さんの腕にぶら下がり、体を密着させて上目遣いで須藤さんを見上げている。

それを見た私と木村君は目を合わせ、お互いに苦笑いする。

「あの、私たちはここで失礼しますね」

私がそう挨拶すると、木村君に、行こうか、と合図し、背を向けて歩き出す。

「どうしようか?そこの居酒屋さんでいい?」

「はい。もう腹減った。さっさと行きましょう」

結局中澤君も呼ばず、二人で軽く飲みなおすことにする。

「それにしても、あの子、強烈っすね」

「強烈っていうか、素のままというか・・・ね」

「あの二人本当に付き合ってるんですかね?」

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