拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
恋人同士

月曜日のお昼、和美に声をかけたら体調も良いというので、一緒にランチに行くことにした。
金曜日、柴田さんに連れられて和美が帰ってしまった後、全く話をしていない。

「よかったね。上手くいったんでしょ?」

「うん、色々ごめんね」

「全然いいけど。須藤さんずーっと機嫌が悪かったんだよ。柴田さんが見かねて声かけてきたのよ」

和美に色々聞いてほしかったが、つわりで体調が悪いのもありしばらくは連絡していなかった。
だが、そろそろ5か月に入ろうとしている最近はかなり体調が良いらしい。仕事も休まず来ているみたいだ。

「前から聞こうと思ってたんだけど・・・」

和美が改まった様子で聞いてきたので、何事かと思い、少し身構えながら、何?と聞き返すと・・・

「満里子とかっちゃんって、何かあった?」

かっちゃん・・・田中さんか・・・。田中さんとのことは和美には何も話していなかった。
私は好きでもない人と体の関係をもったりはできないが・・・田中さんの気持ちはよくわからなかった。私には恋愛感情がないと思い込んでいた。だから・・・セフレ、ってことになるのだろう、と思っていたが、この前、ちゃんと私のことを想っていてくれていた、と言ってくれた。

お互い、遠慮なのか、面倒だったのかわからないが、ちゃんと向き合うこともせず、結局上手くいかなかったが、田中さんの優しさに救われたのは事実だ。

一連の話をすると、和美は心底驚いたようだった。

「かっちゃんが満里子にいくとはね~」

と頻りに感心している。
和美の言わんとしていることは、何となくわかる。大人の色気が駄々洩れのわりに、神秘的というか、現実離れしている雰囲気があり、女性と関わるところが想像しにくい。

「モテモテのわりに、女っ毛がない、というか・・・誰か忘れられない人でもいるのかな、って思ってたのよ」

まさに、和美が言うように、私もそう思っていたのだ。だから何となく私も踏み込めずにいたのもある。

「私もそれ思っててさ・・・。もしかして和美のイトコの人がそうなんじゃないかなって思ってた」

「は?それはないよ。男だもん。私のお兄ちゃん的なひと。真也君」

そうなんだ・・・。田中さんが和美のイトコと大学で一緒だったとしか聞いておらず、てっきり女性なのかと思っていたのだが。。

「前からかっちゃんってやけに満里子に構うな~、とは思ってたんだけど、まさかそんなことになってたとはねぇ」

そんな風に見えてたのとは知らなかったが、田中さんには仕事の話や牧野くんのことで本当に救われた。夜、田中さんに会いに行こう、と思うことで仕事が頑張れたのだ。

「満里子こそ、かっちゃんのこと、タイプじゃないんじゃない?年上の大人の男、、とか興味なさそうだと思ってたのに・・・」

あ、でも須藤さんもそうか、と独り言みたいに言って、勝手に納得している。
確かに浦橋くんも、片想いしていた牧野くんも、気の合う同級生、という感じではあったが・・・

須藤さんのことは、好きと同じかそれ以上に尊敬している。私に興味を持ってくれていること自体、夢のようだったのだ。

和美は知らなかった事実を知り、結構驚いていたが、落ち着くと、結婚生活の話やお腹の赤ちゃんの話をしてくれた。
私はまだ未知の世界だが、和美が生き生きとしている姿をみると、きっと素晴らしい世界なのだと思う。
和美が私とは違う遠いところに行ってしまうような気がして寂しかった時もあるが、産休に入る前、またご飯に行く約束をして、生まれたら赤ちゃん見に行くから、と言って別れた。
< 237 / 250 >

この作品をシェア

pagetop