拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
それからしばらく3人で他愛もない話をしていると、店員さんがやってきて、そろそろお時間で~す、と声をかけてきた。

「あ、もうそんな時間か。お会計先にしてきちゃおうかな」

そう言いながら店員さんのところに向かっていった。

「疲れただろ」

「そうでもないよ。菅原さんが気さくに色々話してくれたし、楽しかったよ」

「そっか」

「牧野くんこそ、楽しめた?一部の人としか喋れなかったんじゃない?」

ほとんど私の隣の席から動かず、トイレから帰ってきた最後の方しか離れなかった。私に気を遣ってくれたんだろうけど、申し訳なく思ってしまう。牧野くんはいつも私を気遣ってくれて本当に優しい。正直今日は知らない人ばかりで心細かったし、女性も少ないし、牧野くんがいてくれたから安心していることができた。

この先社会人になったからには今日みたいな飲み会や懇親会はたくさんあるだろう。今みたいに牧野くんや同期のみんなが側にいてくれるわけではない。そんなことを思いながら、内心はぁー、とため息をついた。

遠くから「牧野~」と牧野くんを呼ぶ声が聞こえてきて、手招きされているほうへ向かい、「おう」と返事し、立ち上がって向かっていった。

お店の人が再び顔を出し、そろそろお時間です、という声を聞き、みんなソロソロと立ち上がり出口へ向かう。
私も荷物を持ち席を立って皆の後をついて歩く。牧野くんが2次会に行くなら一緒に言ってもいいが・・・正直今以上にみんなが酔っぱらってくる中にいるのはどうかな、と思っていると、後ろからふわりと肩を抱かれた。

「行こうぜ」

牧野くんが私の肩を抱いたまま、皆が歩く方向とは別の方向へ歩き出す。それに気づいた同期が慌てたように声をかけてくる。

「あれ?2次会行かねーの?」

「うん、悪りい、帰るわ」

そういって私の手を引きながら歩き出す。

「行ってもよかったのに」

「なにお前、行きたかったの?」

「ううん。私じゃなくて牧野くんが。私は一人でも帰れるよ」

「いいんだよ。みんなが満里子を2次会に連れてこいって言うからさ。だけどお前だいぶ疲れただろ?」

私に気を遣ってくれているのはわかるのだが、今日の飲み会の時もほとんど私の側にいて、他のみんなと喋っていたのは後半のほんの少しだ。何だか申し訳なくなってくる。

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