拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
この前と同じように二人でお昼食べてから一緒に行くことになった。

翌日待ち合わせしたときから牧野くんはいつもどおりだ。
教室にいるときや皆と一緒のときは素っ気ないが、今日の牧野くんは今まで通りだ。
いつもどおり優しくて、変な気を遣わなくて済むし、とてもいごごちが良い。お昼を軽く食べた後にブラブラと買い物をして
飲み会のお店に向かう。

「なんか面倒くせーな」

ぼそっと呟く声が聞こえて、え?と牧野くんの顔を見上げる。牧野くんが飲み会を面倒くさがるなんてめずらしい。今までも多少はあったのかもしれないが口に出して『面倒くさい』なんてことを聞くのは初めてだ。

「牧野くんでも面倒なんて思うこともあるんだね」

「そりゃあるよ。今日だってほんとは飲み会なんかより映画とか行って食事しながら飲んだほうが楽しくね?」

・・・それは、私と、だろうか。そう思ってくれているなら嬉しいな、と思うと途端に私まで今日の飲み会が面倒で、恨めしく思えてきた。

お店に着いた途端、菅原さんが大きな声で牧野くんを呼んだ。

「あ、牧野くん、こっちこっち!」

入り口まで来ると、牧野くんの腕をグイグイひっぱり連れて行ってしまう。私も一緒について行っていいのかな、この辺のア空いてる席に座ろうかな、と考えていると、牧野くんが戻ってきて私の腕を掴んだ。

「何ぼーっとしてんだよ。行くぞ」

牧野くんに腕を掴まれたまま奥にズンズン進んでいき、どかっと座り私の腕をひっぱり隣にで座わらせる。菅原さんは牧野くんと一緒に飲みたそうだけどいいのかな、と思い聞いてみる。

「いいの?」

「・・・何が?」

「菅原さん。わざわざさっき呼びに来てたじゃん」

「あっちで話してるからいいんじゃね?」

あまり気に留めた様子もなく言っているが、あの様子は明らかに牧野くんに気がありそうだ。私のことをけん制している様子も感じられる。何となく気分が落ち込みそうになり飲み会に来た事を後悔したが、今更しょうがない。牧野君がみんなに捕まったら今日は私だけ先に帰ればいいし。

そんなことを考えていたら、間を置かず乾杯となり、ガヤガヤと飲み会が始まった。
この前のより少し少な目の・・・10人くらいだろうか。はじめましての人も何人かいるようだ。

同じテーブルの人と話をしていると、横に座る牧野くんに、そっと耳打ちされた。

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