拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
ぼんやりテレビを見ながらチビチビと缶チューハイを飲んでいると、携帯が鳴った。・・・牧野くんだ。時間を確認するともう深夜1時半だ。あまりのお遅い時間に誤発かな?と思いながら通話ボタンをタップする。恐る恐るスマホを耳に当てると牧野くんの声が聞こえてきた。

「おい、今どこだ?」

「・・部屋だけど」

「ちっ。なんだよ。心配すんだろ、すぐ出ろよ」

ちっ、ってなんだ。舌打ちされる筋合いはなんだけど・・・

「そっちこそ。菅原さんは?」

「何とか、大丈夫」

何とか大丈夫っていうのはなんだ。・・・ってか牧野くんはいまどこからかけてるんだろう。

「ちょっと出てこれない?」

「牧野くん今どこにいるの?」

「エントランスの中庭。少しだけ出てこれない?」

すっぴんなんだけどどな・・大丈夫かな。

「もうパジャマなんだけどな」

「少しだけ、ダメ?」

ダメ?・・・と言われちゃうとダメはダメなんだけど、会いたいしな。。じゃあ、少しだけね、と慌てて支度して降りていく。
エントランスの中庭に行くと、コンビニの袋を下げた牧野くんがベンチに座っていた。さすがにこの時間になると誰もいない。近づく私にすぐに気づき、立ち上がって私の前にきた。
私の顔を見ると、驚いたような顔をして覗き込んできた。

「何お前、酔ってんの?」

「え?顔赤い?」

「赤いし、ふらついてる、第一そんな薄着で寒くないの?」

そういえば、寒くないな。さっきから体がほてって熱いくらいだ。頭もフワフワというかグワングワンというか、ふらふらする。そうか・・・言われて気付いたが、お酒のせいか。自覚してくると胸がムカムカして気持ち悪いかも。

そんな私を見て、牧野くんは機嫌がわるそうに、チッと舌打ちして問い詰めるように言った

「どこで飲んだんだよ?あの後誰かの一緒だったの?」

「違うよ。今部屋でビールちょっと飲んだだけ。牧野くんこそ・・・菅原さんと一緒じゃなかったの?」

なんで私が問い詰められなきゃいけないんだ、と若干むっとしながら言った。

「ああ、結構酔ってたけど、さっき部屋まで送り届けた」

「へえ、随分仲良さそうだったけど。残念だったね」

「あぁ?何言ってんだよ。お前のせいだろ」

怒った口ぶりで言ってくるが、何で私が怒られているのかさっぱりわからない。
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